《 ゴンドラの唄 》

吉井勇作詞・中山晋平作曲


いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
(あか)き唇 褪(あ)せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを

いのち短し 恋せよ少女
いざ手をとりて 彼(か)の舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰れも 来ぬものを

いのち短し 恋せよ少女
波に漂(ただよ)う 舟の様(よ)
君が柔手(やわて)を 我が肩に
ここには人目も 無いものを

いのち短し 恋せよ少女
黒髪の色 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを


 黒沢 明監督の映画 「生きる」 のなかで、志村 喬扮する一市役所の市民課長が、この歌を幸せそうに歌うシーンがありました。
 彼、渡辺勘治は、30年間無欠勤という模範的な役人だったのですが、ある日、自分が胃ガンで余命幾ばくもないことを知らされます。 早くに死に別れた妻との間にできた息子にも冷たくされ、絶望と孤独に陥った彼は、街へさまよい出て、飲みなれない酒を飲むのです。 ああ、自分の人生はいったい何だったのか?・・・。  かれは生きることの意味を考えはじめ、人生の最後の時間に、ほんの少しでも市民の役に立つことをしようと考えはじめます。
 住民の要望を死にものぐるいで実現し、かれの努力により児童公園が完成します。 そして小雪の舞う夜、完成したばかりの公園のブランコに揺られながら、彼はこの『ゴンドラの唄』を楽しげに歌うのです・・・・

著作権の規定により、演奏時間は試聴の範囲(45秒以内)
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